飼い主様からの質問で「避妊(♀)手術ってした方が良いんですか?」という質問をよくいただきます。私の答えはYES!です。
その理由とメリットとデメリットを挙げていきます。
<メリット>
①最大のメリット!高齢になってからの病気の予防ができる!
特に多い病気で乳腺腫瘍や子宮蓄膿症があげられます。
<乳腺腫瘍>
乳腺腫瘍は犬で50%、猫で90%が悪性と言われています。では避妊手術をするとなぜ乳腺腫瘍の予防ができるのか?
避妊手術をすると卵巣と子宮がなくなり発情がこなくなります。その為、乳腺が発達せず腫瘍になる乳腺組織そのものが発達しないからです!
乳腺腫瘍ができる確率は初回発情前の避妊手術で1%以下、1回発情後で10%以下、2回発情後で30%くらいの確率と言われています。
<子宮蓄膿症>
子宮蓄膿症とは子宮に細菌が入り膿が溜まってしまう病気で、子宮が破裂したり全身に細菌や毒素が回ると死に至る事もあります。
特に発情期は卵巣からのホルモンの影響で子宮内に細菌が入りやすい環境となります。あまり知られていませんが、ワンちゃん・ネコちゃんは生涯にわたって発情期があり閉経する事がありません!
なので発情期がくる度に子宮蓄膿症の可能性がつきまといます。特に高齢になればなるほど確率はあがり、7,8歳くらいの未避妊の子だと3頭に1頭くらいの確率で子宮蓄膿症になります。
元気なうちの避妊手術と高齢になって子宮に細菌が入ってからの手術とでは手術の危険度が全然違います!
②発情に伴うストレスの軽減
未避妊のワンちゃんだとだいたい年に二回の発情期があります。まずは出血があり、それを一日中気にして舐めたり、色々な物にお尻を擦りつけたり、神経質になり攻撃性が増したり、一週間くらい食欲がなくなったりという行動が多くみられます。
ネコちゃんの発情期でよく相談を受けるのは「ご飯も食べずに一日中鳴いているから何とかしてほしい」と相談を受けます。近所の迷惑にもなり、飼い主も眠れない、何よりも本人が鳴き続けて疲れてしまいます。実際に発情期の前と後で体重が減ってしまう事も多く、それだけエネルギーを消費してしまいます。
これらの行動はいずれもワンちゃん・ネコちゃんにとってかなりのストレスとなり避妊手術により回避する事ができます。
ただし100%回避できるわけではなく、1000頭に1頭くらいの低確率で発情が残る事があります。
③妊娠と分娩時のリスクを回避
交配させるつもりがなくても目を離した隙に交配してしまった、いつの間にか妊娠をしていてお腹が大きくなってきたなどの相談も病院で受ける事があります。こういった望まない妊娠を避ける事ができます。
分娩時のリスクは人同様ワンちゃん・ネコちゃんにもあり、特にフレンチブルドッグやパグなどの犬種は高確率で帝王切開になります。帝王切開になると分娩時のリスク+麻酔と手術のリスクも加わります。
<デメリット>
①麻酔のリスク
避妊手術は全身麻酔でおこなうため、管理を徹底しても麻酔事故のリスクは存在します。
当院では術前に身体検査をして血液検査やレントゲン検査もおすすめしていますが、麻酔によるリスクを完全に把握できるわけではありません。もし術前検査で異常が見つかれば改善して万全の状態になってからの手術をおすすめしています。手術中は生体の変化にすぐ対応できるように麻酔管理だけの看護師が必ずいる状態で手術に臨んでいます。
②太りやすくなる
避妊手術をしたほとんどのワンちゃん・ネコちゃんがポッチャリしてきます。ホルモンバランスの影響や卵巣・子宮でのカロリー消費がなくなるため太りやすくなります。
肥満による影響で良いものは一つもなく体型維持は絶対に必要です!体型維持の方法は二つです。
一つ目はフード!当院では避妊後のフードの提案もしっかりさせていただきます。避妊後のフードやカロリーの少ないフードなど様々なフードの中から合うフードを提案しています。
グルメなワンちゃん・ネコちゃんでなかなかフードが見つからないなどの難題も一緒に悩んで何とか色々と提案できればと思います。
二つ目は運動あるのみ!ネコちゃんではなかなか難しい事が多いですが、ワンちゃんの場合は散歩の時間を長くしたり、ドッグランで走ってみたりとにかく運動をしてシェイプアップです!
色々とメリットとデメリットがありますが病気になってからでは遅い!というのが避妊手術をすすめる私なりの最大の理由です。もし避妊手術をしようか迷っている方がいましたら気軽に相談してください。
豊橋で土曜日、日曜日、夜間診療の動物病院 オリバ犬猫病院
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