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オリバ通信

2024年07月19日 / 病気のあれこれ / 猫のよくある病気・疾患 / 循環器科

猫の肥大型心筋症および肺水腫、血栓症の症状と原因、治療について|獣医師が解説

豊橋市、豊川市、新城市、田原市、浜松市、湖西市のみなさんこんにちは。
オリバ犬猫病院の獣医師の辻元です。
今回は猫の心臓病の中でも特に注意が必要な「肥大型心筋症」について詳しく解説します。
早期発見・早期治療が大切なこの病気、あなたの猫ちゃんに心当たりはありませんか?


<要注意!8つの症状チェックリスト>

・元気がない
・じっとしている時間が多くなった
・食欲がない
・咳をする
・粘膜が白い
・少しの運動でも口を開けて呼吸をしている
・手足が冷たい
・後ろ足が突然動かなくなった


このような場合『肥大型心筋症』の可能性があります。

<肥大型心筋症とは>
猫の心臓病の中でも最も一般的な病気の一つです。心臓の筋肉(心筋)が異常に厚くなることで、心臓の機能が低下する病気です。

・心臓の仕組み
始めに心臓は心筋と呼ばれる筋肉でできており、右心房、右心室、左心房、左心室という4つの部屋で構成されています。
血液の流れ:全身→右心房→右心室→肺→左心房→左心室→全身の順に流れています。

・肥大型心筋症の問題点
主に左心室の心筋が厚くなり、内部が狭くなる

心臓のポンプ機能が低下し、全身への血液供給が不十分に
血栓や肺水腫などの深刻な合併症のリスクが高まる


肥大型心筋症では主に左心室の心筋が分厚くなり部屋の中が狭くなります。イメージとしてマッチョすぎて動けない感じです。心室は拡張も収縮もしづらくなり全身に送り出される血液の量(心拍出量)が低下します(この状態を左心不全と言います)。心拍出量が低下すると血圧が下がるので、それを補うために心臓がより収縮して血液を送り出そうとするので心筋がさらに肥厚するという悪循環に陥ります。

また、左心室に入りきれなかった血液は左心房に溜まり、この状態が続くと左心房が大きくなったり(左房拡大)、左心房内で血栓(血の塊)ができる事があります。この血栓が全身に送り出され、血管内に詰まる事があります。脳や心臓だと突然死、腹部大動脈の分岐部だと後肢に強い痛みが出て動けなくなったりします。

左心房に血液が溜まると肺から流れてくる血液が入りづらくなる為、肺に血液が溜まりそれが血管から染み出すことによって肺水腫(肺に水が溜まっている状態)に陥ってしまいます。肺水腫になると呼吸が苦しく開口呼吸がみられ、早急に治療が必要です。

<肥大型心筋症の原因>

・遺伝的要因:特にメインクーン、ラグドール、アメリカンショートヘアーに多い
・性別:オスに発症が多い傾向
・年齢:6ヶ月〜20歳と幅広い年齢で発症の可能性あり



<肥大型心筋症の治療>
当院では内服薬での治療となります。症状や心臓の大きさによって使用する薬は異なります。
・心筋肥大の抑制:β遮断薬、血管拡張薬、強心薬などを使用
・血栓予防:抗血栓薬の投与
・肺水腫への対処:入院による集中治療(利尿剤の投与、胸水の除去など)
・退院後の管理:上記の薬に加え、利尿剤の内服を継続

<まとめ>
肥大型心筋症は早期発見・早期治療が鍵となります。定期的な健康診断と、日々の愛猫の様子観察を心がけましょう。少しでも気になる症状があれば、迷わず獣医師に相談することをおすすめします。

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