豊橋市、豊川市、新城市、田原市、浜松市、湖西市のみなさんこんにちは。
愛知県豊橋市オリバ犬猫病院です。
今回は、犬の前十字靱帯断裂の症状の原因、当院での治療について説明させていただきます。
前十字靭帯断裂は膝蓋骨脱臼に並んで犬に多く見られる膝関節疾患の1つです。
前十字靭帯とは?
前十字靭帯は、膝関節の中に存在する靭帯の1つで、膝関節の強い曲げ伸ばしを防止し、骨の前方への急な動きや負担、過度な内側に加わる衝撃を制御しています。
《症状》
前十字靭帯断裂の症状として、
・後ろ足を引きずる かばう
・後ろ足を上げてたまま歩く(ケンケンする)
・足を痛がる
・横座りをする
・動き出しが遅いなど
なお、一時的にこれらの症状を見せたものの暫くすると通常に戻るというケースもあります。しかし、一度痛めた靭帯はその状態を繰り返すことで、靭帯はもちろん軟骨や半月板を痛めることに繋がり、症状の悪化を引き起こします。
《原因》
前十字靭帯が切れる原因は、膝関節に急に強い曲げ伸ばし、捻る力が加わる事で前十字靭帯断裂が起こります。
さらに、半数以上の症例で膝関節の中にあるクッションの役割をしている半月板が同時に切れてしまうこともあります。(半月板損傷)
前十字靭帯断裂は、
・中高齢の犬
・肥満の犬
・大型犬
・膝蓋骨脱臼を伴う後肢
に多いと言われています。
《診断》
視診
姿勢評価(立ち姿 座り姿)や、実際に歩行してもらい患肢の特定、歩行異常や重度の評価をします。
触診
立位(立ったままの姿勢)→筋肉量や腫れ具合、関節液が溜まってないか触診します。
横臥(横にした状態)→膝関節の曲げ伸ばしをし痛みの有無がないか 異音がしないかを触診します。
これらの状態を評価してから以下の検査を行います。
脛骨前方引き出しテスト
膝関節の太ももの骨と脛の骨に前後の圧をかけて触診することで、膝関節の小さなぐらつきを検出するテストです。
脛骨圧迫テスト
膝関節を90度に曲げた状態で、足首を曲げることにより、脛の骨が前方にどれだけ移動しているかを確認する検査です。
x線検査(レントゲン検査)
患肢及び正常肢の撮影をし、原因疾患の特定と他の疾患がないかをチェックします。
《治療法》
治療法は犬の体重、活動レベル、断裂の程度などによって変わります。
内科療法(保存療法)
・ケージレスト→ケージの中で安静にさせ、激しい運動の制限
・生活環境の整備→フローリングではなく、滑り止めマットを敷いたり階段のない環境に変更
・体重の管理
・鎮痛剤の投与(痛み止め)
・適切な運動指導→ゆっくり歩く事やなるべく草むら土・砂の上を歩き、クッション性のある床で運動を行う
・悪化を防ぐ為に、患肢をロバートジョーンズ法で固定
外科的治療(手術)
当院では、関節外法(ラテラルスーチャー法)という術式を行なっています。
関節外法(ラテラルスーチャー法)とは?
断裂してしまった前十字靭帯の代わりにナイロン糸などの人工靭帯を太ももの骨の遠位にある膝関節や靱帯に含まれる小さな骨と脛の骨の一部にかけて安定化させる方法です。
この術式をする事で、人工靭帯によって一定期間、関節が安定し、その間にわんちゃんの関節周りの組織の再生や安定を待ちます。
また前十字靭帯断裂の他に膝蓋骨脱臼や他の関節疾患が見つかった場合は、同時に手術する事もあります。
《術後ケア》
術後は、基本的にはケージで安静にして下さい。
ゆっくり歩くことは大丈夫ですが、走る ジャンプ 飛び降りる 飛び乗る 階段の上り下りなどは控えて下さい。
当院では、定期的にレントゲンを撮影し、経過をします。
《予防》
日常からできることとして体重管理が重要です。適切な食事や運動をして肥満にならないよう心がけましょう。
また、家の中でわんちゃんが行動する範囲は滑るのを防止する為に滑り止めマットを敷いたり、急な運動やソファ ベット 階段や、高さのある所からのジャンプなど脚に強い負担をかける行為を避けることも大切です。
爪や足裏の毛が伸びすぎないようにする事も予防になります。
かかりつけ医で治療してるが一向に良くならない、または難しくて手術ができないと言われた。
もっと専門性の高い病院でしっかりと治療したい。
大学病院まで行く事ができない。
など整形疾患でお困りのわんちゃんの飼い主様、当院では月に一度、整形外科専門外来を行っております。
・足を痛がったり引きずる
・足を上げたまま片足で歩いたりする