豊橋市、豊川市、新城市、田原市、浜松市、湖西市のみなさんこんにちは。
愛知県豊橋市のオリバ犬猫病院の獣医師の辻元です。
今回は、猫の便秘、巨大結腸症の症状と原因、当院での治療について説明をさせていただきます。
〈巨大結腸症とは〉
結腸(大腸)に便が大量に溜まりすぎてしまい腸の筋肉がのび、腸本来の機能を果たせなくなり自力排便が出来なくなる病態です。
〈原因〉
慢性の便秘
肥満や関節炎などが原因で踏ん張ることができない
下半身麻痺
骨盤の変形
便の出口が狭い
腫瘍での圧迫
腎不全 など
猫ちゃんに多い疾患です。
〈症状〉
何日間もの間便が出ない
トイレに行き踏ん張っても便が出ない
お腹が張る
食欲がなくなる
嘔吐
毛艶が悪くなる
脱水症状でふらふらする など
〈診断〉
腹部の触診をし、レントゲンで便と直腸を確認します。
左:直腸(大腸)に便が溜まった猫のレントゲン
右: 便秘がなく正常の猫のレントゲン
比べると左のレントゲンでは大量の便がたまり直腸が大きく広がってしまっている事が確認できます。
〈治療〉
巨大結腸症の治療はまず内科治療を開始します。
①内科治療
・腹部のマッサージをし固まった便を柔らかくする
・便を柔らかくする薬、消化管運の動きをよくする薬を飲む
・浣腸処置をして便を柔らかくする
・便が出て脱水を起こさないように点滴をする
・高線維の食事に変更
上記の治療をしても改善が見られない、便秘を繰り返す子は外科治療へと切り替えます。
②外科治療
巨大結腸症の外科治療は伸びきって収縮しない腸を切除するという手術内容です。
実際に手術を行う猫ちゃんの手術前のお腹です。
便が大量に溜まっている為、お腹が膨らんでいる事が分かります。
こちらの子は浣腸処置約10回、便を柔らかくするお薬を8ヶ月間服用をしましたが便秘が改善されず嘔吐、食欲不振が見られたので外科手術を行いました。
お腹を開けると便により巨大化した腸が見られます。
腸を取り出し、切除する範囲を決め腸を切り取ります。
切除し残った腸同士を縫合します。
こちらが実際に取り出した腸です。
そして、手術前後のレントゲンです。
手術を行い腸の大きさが変わった事が画像でも見受けられます。
手術を行った次の日からウェットフード与え嘔吐や急変がないか約1週間入院をして経過観察します。
2週間後徐々にドライフードへと戻していきます。
当院で行った猫ちゃんは手術の次の日から軟便ではありますが毎日便が出始め2週間後には通常の排便、そして便秘が解消され怒りっぽさもなくなりご飯も食べ良好に経過しています。
今後また便秘にならないように繊維の多いフードへの切り替えをし再発を防止します。
慢性の便秘は放っておくと命に関わる病気です。
便秘から見つかる病気もありますので少しでも気になる事がありましたらご相談下さい。